こんばんは。dbd半です。創作意欲がとまりません。
ブログを書くと言うのはとても勉強になります。一年を通して書いていましたがもう少しペースアップして行けたらと思う今日この頃。
はい、話は変わりますが、今日は七夕です。
みなさんお空を見上げていますか?
携帯電話のフォト機能では綺麗に撮れませんが月光がとても綺麗です。明日は満月らしいですよ。
さて、珍しく小説?を描いてみました。
書くことは脚本の練習にも役者の練習にもなります。いろんな分野はお芝居につながります。
ちょっと少女漫画風かな。本格的ではないのでゆる〜くよんでください笑。
下手な横好きではありますが、お楽しみいただければ幸いです。
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「それ、変だよ」
幼馴染のたか子が、口を尖らせて私の隣でそう言った。
それ、とは私の髪型のことだ。
<脱>散髪屋という事で、初めての美容院だった。
いつもの散髪屋のおやっさんは、白髪と地肌が入り混じった頭をなでながら、ちょきちょきと小気味良い音を軽快にならせ、いつも10分ちょうどで仕上げてくれる。それがどうだ。美容院というのは、予約を入れて順番待ちをしたのち丁寧に持ち物や上着まで保管してくれる。
そして短髪にもかかわらず、「今日はいかがしましょうか?」などと聞いてくる。
カット以外に何ができるのだ?ともごもごしていると、カットとシャンプーで宜しいでしょうか?と良いタイミングで促されてしまった。
こうなったら、言われるがままだ。
初めてのシャンプーは気持ちが良い半分、こそばゆいが半分。
そしてカットももちろんお任せだ。この髪の毛に何のリクエストができるのか、私が教えて欲しい。
そうして、出来上がった私を見に、、というかからかいにだと思うが、美容院を紹介したたか子が現れ、横に来るなりこの一言だったわけだ。
たか子のはっきり物を言う性格は好きだが、時には気遣いというのをそろそろ覚えて欲しい。案外、男子の方がデリケートだったりするのだ。
無性に、散髪屋のおやっさんの産毛のような白髪頭をなでなでする光景が恋しい。
「っかしいなぁ。あのお店だったら、お任せでも上手にしてくれると思ったんだけど。」
たか子は半分お節介混じりで美容院を勧めて、そして仕上がった私を差し置いてぶつくさ文句を言っている。
普段ワックスなんかつけない短い髪が、芝生のように逆立てられその影を見ても自分の物と認識できない私は、どこの穴に入れば良いんだろ?
逡巡していると、たか子がまた提案してきた。
「ね、映画いこ。まだお昼だし、見たいヤツあるんだけど、しずしず今日ダメなんだって」
今日は土曜日だ。
しずしずと言うのはたか子の親友。中学になってから、知り合い一気に仲良くなった。
なるほど。私はピンチヒッターだったわけか。
でも、そろそろ私たちもいい年齢なのだから、少しは意識というものをして欲しいものだ。
私だって、健全な高校生だ。女の子と2人で映画だと言えば、、、いや、これ以上はやめておこう。
たか子にこの辺りの話をしても流されるだけだ。「な〜に、バカな事いってんの、受けるぅ〜」きっとそう言うだろう。
* * *
映画は物凄く面白かった。
ピンチヒッターでも、こんな面白い映画に誘ってくれたたか子には感謝せずにはいられない。
私は映画が大好きだ。あわよくば映画監督にだってなれるものならなりたいくらい。現実は甘く無いのを承知しているので口に出したことはないが。
私はたか子に先ほど見た映画の評論をノンストップでしゃべり続けていた。
主人公のアクションの素晴らしさ、カメラワーク、佳境に従って盛り上がっていく脚本の素晴らしさ。
ああ、もう一度見たいくらいだっ!
たか子は適度な相槌を打って聞いてくれている。
こう言う時のたか子は本当に良い。私を自由に放し飼いさせてくれる。もともと好きなものが近かったのもあったし、私はこの時間がとても大好きだ。
外はいつの間にか暗くなってきていた。
「ね、もう一個付き合ってよ」
そう言うと小さい頃お寺の周りで遊んだように自然と手を繋いできた。
だからさ、、、。
私の心中なんてこの女子にはきっと届かないのだろう。
どきどきする鼓動を隠して、たか子に言われるままついていった。
かなりの時間歩いただろう。電車にも乗った。
珍しく電車の中は混んでいて、カップルさながらたか子を庇う格好をしてみた。
いつの間にたか子が私の腕に収まるくらい私の身長は伸びていて、改めて赤面というか、、変な意識をしてしまう。
どうせたか子のことだから、こんな私のことなんてただの幼馴染にしか思っていないのは明白だ。このまま距離が開いて、大人になって全くの他人になってしまうくらいなら仲のいい幼馴染で居られる方がきっとマシだ。
「ついたこっちこっち」
そこは初めて降りる駅だった。
さらに、歩くこと30分。
結構な道のりだったが幼馴染なだけあって話は尽きない。
私たちは最近あった他愛ない話をした。英語の教師は実はズラだったとか。同中だった子が本気でアイドルを目指すために上京したとか。好きなアーティストを発見したとか。いつまででも話して居られる。どれくらい歩いたのかなんてどうでも良かった。
たか子はそのままガンガン歩き出し山の方に向かっていった。しばらく黙ってついていくと、そこには小さな公園があった。
「誰も居ない公園てなんかワクワクしない?」
たか子は振り返りながらニヤリとした。
「うわっブランコの椅子ちっちゃ!私のお尻こんなに大きかった?」
「こういう遊具めっちゃ遊んだな!」
誰も居ない公園で近くに民家もない。きっと大声笑っても、迷惑にはならない。たか子のはしゃぎっぷりに私もつられる。
私はたか子の思い切り笑う声が好きだ。
心の中から楽しそうで、ついこちらも笑ってしまう。
でも今日のたか子はどうしたんだろ?何か言いたいことがあるような。先ほどは何も言わなかったが学校で何か嫌なことでもあったんだろうか?
時折、何か言いたそうにこちらをチラチラとみてくる。
「織姫様と彦星様会えますかな?」
そう言えば今日は七夕だ。ここ数年雨続きだったろうから、そのことを言っているのだ。確か今年晴れれば10年ぶり。
「なんかお願い事する?」
願い事か、、うん特にないなぁ。
今の所高校生活も無事にそこそこ楽しんでいるし、勉学は決して得意では無いが高望みもして居ないので、特に願うほどではない。
黙っていると、突然たか子か噴火した。
「ああ!!じれったい!」
なんだ?なんだなんだ??
「わかんないかな?このシチュエーション!!
人気もない!満点お星様!ここにいるのうちら2人!!どうよ!?」
えっっと、、どうよ?と言われましても、、
「わかってる。しずにも釘刺されてたし。あんたは鈍感だった!!昔っから!!」
なんだ?いきなりキレられてるこの状況。
だが、とりあえずヤバイ。たか子は普段笑顔を振りまいている分、一度切キレるとその噴火はなかなかおさまらない。自分でも止められなくなるタイプだ。
昔、いじめっ子タイプの年上の男の子に切れた際は、家まで追いかけてその親に直談判しにいき、その子のやって居たことをこと細かく説明し、最後にこう締めくくった。「こんなんじゃ良い大人になれませんよ!」全く子供がしかも年下の子供の言う言葉じゃない。
どうしてそんな事を私が知ってるかだが、その間中付き合わされるのはいつも私の役目だった。なので、アレを目の当たりにした経験者から言うと、今度は何が起こるやら・・。
そうだっ。さっき見た映画の話をしよう。落ち着け。私が落ち着かなきゃたか子は落ち着かないぞ。
「だからさっ ねっ!聞いてるの!!」
そう映画の話を、、、と思った瞬間、体がぐらついた。つい考え込みすぎて顔に意識がいって居なかったのをたか子は無視されたと思いぐいっと振り向かせようとしたのだ。私はベンチに座って居たが、不意の重心移動で、まうしろ頭を打ち付けている格好になってしまった。
激痛が後頭部に走る。
そうだ。たか子はいつもそうなんだ。
勢い余って知らない家まで怒鳴り込むような女の子だったが、家から出た瞬間、立てなくなって大泣きをしていた。本当は怖かったのだ。いじめられたのはたか子じゃなかった。守らないといけないと立ち上がる正義感の強い女の子。でも、それは普通の小さい女の子だったんだ。
雨が降ってきた。
いや、たか子が泣いてる。
自分のせいだと思ってるだろう。たか子らしい。
見るとたか子の背景には満天の星空だ。そうか、たか子はこれを見せたくて私をここに連れてきたんだ。
たか子の涙はまるで流れ星が落ちてくるみたいだった。
「きれいだね」
「なっなにいってるの!?やばいとこうったんたんじゃない!!」
心なしかたか子が赤くなってるみたいだった。
イテテテテ、、
なんの話をしてたんだっけ。
「だから、私になんか言う事ない?」
少し落ち着きを取り戻したたか子はすぐに話を戻した。
うっ。実はある。あるけど・・
「あ〜ぁ、これだからっ!」
「10年」
思わず口をついで出た
「え?」
「10年経ったら言うよ。言いたいこと。」
「はぁ?」
「なんで10年?」
「今年10年ぶりだろ?七夕で会えるの」
「たからって、ながっ」
今の私はたか子を独り占めする勇気も玉砕する勇気もまだないんだ。
でも、きっとこの気持ちは変わらない。
だって、10年前もそうだったんだから。
* * *
「たかちゃん、お願い事書いた?」
「書いたよ」
「なになに?」
「正義のヒーローになりたい」
「たかちゃんらしいね。じゃ、僕はヒーローを守るヒーローになる」
「なにそれ。へーんなの」
たか子はそう言って大きな声で笑った。私もつられて笑った。
そういや10年前も変だよって言われてたんだ。
次の10年後には、きっと言うよ。
今は言えないけど。
次にはもう20年越しのお願い事になるんだから。だから、きっと叶うだろ?
* * *
たか子はまた唇を尖らせて、「そうなったらあたし何歳になるのよ」なんてぶつぶつまた言っていた。私は、暗闇に紛れて、初めてたか子をぎゅっと抱きしめた。お互い緊張してるのがわかって、すぐに笑ってしまった。
慣れないことはするもんじゃない。
でも、どうやらたか子の噴火はおさまってくれたようだ。
私たちはまた道中他愛ない会話をしながら、帰っていった。
きっと私たちはすぐに大人になるだろう。喧嘩もするだろう。もしかしたら、お互い違うパートナーを選択するかもしれない。お互い離れた場所で生きていくかもしれない。
でも、この日この時、私のパートナーはたか子だった。
織姫と彦星が一年に一回しか会えない事を考えれば、私たちは会おうと思えば毎日だって会える。
私は口下手で、映画オタクで、特に取り柄はないけど、今なら何にだってなれる気がするよ。
"私は君のヒーローになりたい"
私は夜空を見ながら、見えない短冊に願いを書いた。
* * *
その頃のしーちゃん(しずしず)
「電話こないなぁ。どこまでいったかなぁ。てゆーか、いまこっちから電話してやろうかな。いっそのこと邪魔してやろうかな。ああ!気になるぅ!」
うずうずが止まらないしずしずでした。
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たか子を仕掛けた張本人
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みなさまのお願い事もお星様に届きますように(^_^)