こにゃにゃちはdbd半です。
かしげきが終了して一か月が経過しました。
会社では1Fを駐車場を事務所として増築。そこに私の部署がお引越しすることになっており、先日やっとこりゃお引越しが完了しました。
そして、やっと落ちついてきたと思ったら、なんと別フロアでGが発見されるという悲劇が。引っ越し早々ビル内でバルサンをたくことになりました。
バルサン・・・1F~4Fまで・・・。
バルサンって、なんか家でやるもんだって思っていて、まさかオフィスビルでやるなんてことあるんですね・・・。
しかもGの発見情報はちっちゃいのが2・3匹・・・奴らの事なので経路がまったく不明のためこんな大騒動になったのですが・・・。
先週週明けはその片付けから仕事が始まりました。
かぶせていたブルーシートをはぎ取り、拭き掃除。
害虫2・3匹のためにわが社はどれだけのコストを使ったのでしょう?
最終的な成果は、玄関口でダンゴ虫一匹がひっくり返っているところを発見されただけでした。(--)
そして私たちは重大なミスを犯すのです。
出勤してすぐに喚起のため窓を全開にしました。
その窓から小さな虫君たちがさっそくオフィス内に紛れ込んでくるのです。
・ ・ ・ 。
バルサン意味なくない?
ま、きれいな方がいいよね!
拭き掃除もしたし、私も虫は大の苦手なんで。
やらないよりやった方が良かったよ。うん。まちがいない。
うん。きっと、ね。
うちの会社は中小企業です。
こういうのを清掃員を雇わず、自分たちでやるところ。中小企業らしくて私は結構好きです。ま、私は営業でもないので、分刻みで予定が入っていることもないから気軽に言えるんでしょうが。
でも、この引っ越しとバルサンが、かしげきが終了した後で本当に良かったです。
さすがにバタバタしていると、大きなミスがあったかもしれません。
何事も余裕があるというのはとても大切です。
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さて、余談が長かったのですが、
今回はかしげき本番当日の早朝の事を書かせて頂こうと思います。
今回は小説風です(笑)。長い文章が書けないので、比較的読みやすいんじゃないかと思います。
なんで小説風か?って。
なんとなくです(笑)
意味のないところに意味がある!・・・かもしれませんよ(^^)
どうぞ、お楽しみください。
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その日は台風だった。
半は、いよいよだと、はやる気持ちと、まだ時間はあるという心の余裕を併せ持ちながら、足元に目を向けた。
足元には、はげかけたペディキュア。
窓が激しく風に打ち付けられている音が聞こえる。
朝4時半。
「とらなきゃ」
ペディキュアを剥がすのには少し時間がかかる。不器用な半は最後にはいつも爪切りで切ってしまうか、削り落としてしまうようにしている。爪へのダメージを考えると、無理矢理な事をやらない方が良いのはわかっている。でも、
今日は落とさないと行けない。店へ行けば簡単だが、時間もない上に新しいものをつけるわけではないのだからそこにお金をかける必要性もそこまで感じなかった。今回は落とせればいいのだ。
昔から少しずつ集まったネイルセット引っ張り出して、コットンに除光液を含ませる。
つま先をコットンをくるませて、しばらく待つ。
風の音がより一層激しく聞こえた。
嵐の本番・・。
半は手の温度でコットン越しに足先を温めた。
昔のことを思い出した。
初めて演劇に触れたのは、高校の時だった。先輩の部活紹介で一気に度肝を抜かれた。
それまで半が見た演劇のイメージとは全く違ったのだ。
一言で言うなら、臨場感。
看板女優の先輩は、きちんとパイプ椅子に座った新人が集まった講堂で、後方つまりは出口の中からゲリラ隊員を様して突如現れた。
勢い
声量
内容
会場内は一気に笑いの渦だった。
それから、少ししてから演劇部に入部した半は、生涯の中で最も濃厚な時間を過ごした。先輩が卒業でいなくなった時は、本気で自分も辞めようかと思うくらい心酔していた。が、結局、劇部のまま2年になった。
高校にはHPFという高校生の演劇コンクールがあった。出場するのが、毎年の恒例になっていた。
夏の暑い日、まさしく台風シーズンだった。部活のメンバーと小道具を調達しながら、歩道を歩いていると、ふとコンクリートに影がないのに気がついた。空を見上げた。
曇天。嵐がくる。
何が起こるか分からないドキドキ感。本番が始まる緊張感と好奇心と嵐の前の静けさ。
大人たちの事情や大変さなんて当時は気づきもせず、半は高揚感の真っただ中だった。
公演終了後、本部から突如連絡が入った。
「台風が直撃するかもしれない。
安全を考えて明日の日時の変更をしようと思う。申し訳ないが、今いるお客さんに君たちの方から、告知をしてくれないか?」
終演後の妙なハイテンションが半の中を駆け巡っていた。半は相方に、目配せをした。
相方は、マジで?やるの?と、小動物のような表情を見せたが、いつも言う半の「やる」という言葉には、問答無用さを含んでいることをこの相方は知っていた。
部長が後ろから「いけいけ!なんでもいいからやってこい」
そう合図をしてきた。
半は役でネクタイを首に巻いていたものをスルッとほどいた。
この時はほぼ無意識だった。ただ、使える、そう思っただけのことだった。
半たちは即興で、北斗の拳さながら、馬にまたがる不良とその子分をしながら、台風の情報を観客に伝えた。内容が伝わったかどうかはさておき、なぜだか、会場が湧いた。あれだけ練習した小ネタは一切受けなかったスタッフさんが声を出して笑ってくれていた。
半と相棒はよっしゃと言わんばかりに親指をたてた。
〇〇ごっこは、その時半達がはまっていた遊びだった。
ある劇団の作品が大好きで、そのキャラクターごっこを稽古のノリでしょっちゅうやっていたのだ。今思えば、スーパーヒーロー、ヒロインの成りきりごっことほぼ変わらなかった。花の16歳。半の心は子供だった。いや、子供の頃より子供だった。
結局、半はそのまま女優賞をいただいた。女優賞といっても、ハードルはそこまで高くはない。どこの高校も一人二人はもらっていただろう。
でも、なぜか、それとは別で、「告知の二人」にも女優賞が用意されていた。すでに壇上にいた二人はお互い自分に指をさし「ここ」「ここ」と、顔を見合わせて笑った。
同じ賞を同時に二つ授与されたのはHPFの歴史の中でもこの時くらいだったろう。
しかし、半にとっては賞などは、どうでも良かった。芝居をやる。それができるだけで体の中で何かが沸いてくるのを感じていた。そして私の隣にはいつも相棒がいた。それだけで良かった。
最後にペディキュアの特に分厚く塗られた部分だけが、残った。
やはり最後は、削ってしまうほうが早い。
細長いやすりのような、ネイル専用道具をとり出す。
最後に残った真っ赤なネイル。
これを落として綺麗に吹き上げれば、フィニッシュだ。
最後に持ち物のチェックをもう一度して、出発しよう。
駅まで歩くか。電車が遅れる可能性もある。
どちらにしろ、早めに出るに越したことはない。
時計は6時を回っていた。
削られて隅に残った真っ赤なネイルを丁寧にふき取る。
あのころは、ネイルなんて全く興味がなかったな。ましてやペディキュアなんて。
あれから、ずいぶん時間が流れた。
私はまた、板に立つ。
そして、また、台風だ。
妙な高揚感。緊張感。どきどき。
あの時と一緒だ。
でも、あの時と今は違う。
気が付くと、雨はさきほどと打って変わり、しとしと降る小雨になっていた。
半はまた時計を見た。
まだ出るのには早いかも入れない。
でも、こんな日は遅れるよりも早く着いたほうがいい。
動きやすいように、荷物をなるだけリュックに入れて、家を出た。
エレベーターをおりて駅へと向かう。
もう小雨さえ、降りやんでいた。
少しすれば眠気がぶり返しそうだと思いつつ、気合を入れた。
いざ、出陣・・・という思いを込めて、空に言い放った。
「行ってきます」