関西の芝居仲間がこっちに来る機会があり、知り合い以外で初めて関東での観劇をしました。あ、劇団四季を除いてですが。
私がこれだけ芝居好きなのに、関東で・・東京で小劇場のお芝居を今まで見に行かなかったというのは、二つ大きく理由がありました。
一つは単純にやりたくなるからです。
拍車がかからなくなったらどうしようという不安や、見終わった後のヤキモキした気持ちのはけ口が今までなかったから。一人で悶々とするのが目に見えています。
もう一つは、関西でも小劇場はピンキリです。
さらにメディアとエンタメの集合地である関東の劇場であれば当たりハズレも多いのは必然。
若い時であれば、ヤッチャッタナと思う公演も楽しめましたが、今はその余裕がありません。金銭的にもそうですが、時間的なものが大きくて。
何より、関東だと、どこが自分好みに合う芝居を観れる劇団なのか検討もつきません。外れる可能性が高い。滅多に行けない分、残念になるのは昔より辛いです。
時間とお金と心に余裕があれば、どれだけ観劇することか。
たらればは置いといておいて、つまるところこの二つを超えて東京まで足を運んで見に行く理由が今まで無かったからです。
今回は関西の昔っからの演劇仲間です。
知り合ったのは社会人になるかならないかくらいから。その友人がやる劇に出させてもらったり、小劇場を一緒に見にいったこともありました。
夜飲み屋で芝居のことや仕事のこと、たくさん話したのが懐かしい。
今は飲み屋に行くことは有りませんが、こうして気の合う仲間に会えるのは、ほんとうに喜ばしい。
そうして、今回セレクトした舞台は
「ワンダースリー」という作品です。
友人と会えるのは決まった日だったので日時指定ありきの芝居探しでした。
こうしてみると、映画のように行き当たりばったりでとりあえず映画館前集合して「さ、なに見たい?」「これなら次の回で見られるからこれにしようかっ?」という気軽さが無いのが実にもどかしいです。
色々サイトを探しましたが演劇チケットサイトでは、日時指定検索が出来ないものもあって、気軽さに対しての敷居を感じずには入られませんでした。
その中で調べまくったあと今回たどり着いたのは上記のワンダースリーという作品でした。
なんと手塚治虫原作です。
ご存知ですか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/W3
私は失礼ながら知りませんでした。
手塚治虫作品というだけで期待度が上がります。
往々にして私たちが好むのは2・3000円程の価格帯の演劇なのですが、やはり前情報がないと小劇場は当たり外れが多いのは必須です。関西からわざわざ来る友人と観劇後にダメ出し大会になるのは避けたいところ。
あ、私みたいな芝居好きは観劇後に自分が感じた感想を出し合うのがまた醍醐味なのです。自分が気づかなかったところを相手は発見してくれていたりします。気の合う仲間の良いところは、感じ取ったお互いの意見を否定しない所です。
そんな貴重な時間を十二分に味わいたいじゃないですか。
と言うわけで、お値段は多少張っても、良いもの見たい。( ̄▽ ̄)
ワンダースリー価格6500円でございます。(=´∀`)ぅ〜ん、失敗したくないお値段。さらに上演時間70分。
正直お値段にしてはお高くない?と思いました。
が、結論を先に言わせていただくと、損した気分はありませんでした。
良かったことにダメ出し大会なんて失礼な事は微塵もなく、勿体無いよねと思うところは少しありましたが、一言で言うなら、すごかったね、に着きました。
最近では小劇場でも舞台と映像のコラボが多いのが目に付きますが、「今回もそれを大きく売りにしていたらどうしよう。演劇というより映像に偏りがあるものかもしれない。」さらにノンバーバルと気づきと警戒心が有りました。
ノンバーバル(台詞なし)舞台。
映像や台詞なしというのは売りは売りで良いのですが、舞台ではやはり生身の人間が演じるリアルや劇場に響き渡る声や台詞まわし、さらに舞台全体を楽しめる世界観を見たいのです。ノンバーバルで楽しめるのだろうかと不安もありました。
ところがどっこい今回は役者さん方のリアルとプロジェクションマッピングなどの映像と、そのほかの舞台芸術の境目が絶妙でした。
誰かが何か(映像や舞台美術のスタッフ力)に頼るような事はなく役者さんは役者さんの良いところを、その他の芸術はそれ自体の持ち味を十二分に見せてくれていました。
ノンバーバルという点も、私は?でした。だって喋ってるもん。宇宙語だけど。(笑)
そう、なのでここでの解釈でいうとノンバーバル=台詞なしの舞台ではなくて、非言語コミュニケーションときちんと受け取るのが正解でした。地球語ではない設定(笑)
どのシーンでも、相当な基礎レベルの高さが見受けられます。
これぞ総合芸術★ と思わせてくれました。
人間と舞台と道具と映像。
あらゆるもののコラボレーションです。
なんてバランスが良いんでしょうか。
* * *
私は一つのものがあらゆるものに見せる演出が好きです。影がお化けに見えたり、ネクタイが馬の手綱になったり(過去ブログ参照)
今回の作品は私の好きなものがたくさん有りました。
あとね、私は舞台の人物たちが一枚の絵のようになっているのが好きなんです。
舞台では人や物が動くんですけどね、そのどの一瞬を止めても写真や絵のようにポージングしてるみたいに綺麗に見える感じです。
舞台の枠が、絵の額縁のようで 上下(かみしも:舞台の右左)と上下、奥行きの遠近を上手く使って、人と人が被らない状態で人や物の配置の構図が美しいのです。
これって役者同士は基本動いているので、自分だけではなくて周りを見てないと絶対できないんですね。
でね、そのポージングの中でも役柄が出てるのが好きなんです。キャラだけでも台詞だけでもなくて体全体でキャラクターが表現されてる。
そういうのを見るとワァとなります。
今回は、関西小劇場らしく体を使いまくります。その上でどのシーンも舞台上の構図やデザインかとても美しい。
(このワンダースリーの演出家さんは前にも書いたことがある演出家ウォーリー木下さんが演出をされています。 ウォーリー木下さんは関西小劇場の劇団☆世界一団(現在Sunday)さんの演出家さんです。関西小劇場は体を使う表現が多くて、かつ合間に小ネタを挟んで来るのが特徴の一つです。なので縦横無尽に役者は動き回るため素舞台(すぶたい:小道具などが置かれていない舞台)が多いのです。)
それを言うと、私はテレ朝の子供向け番組、ヒーロー戦隊が好きなんですが、同じことが言えます。
今放送されてるのはキュウレンジャーですよね☆
キャラクターも大好き。キュウレンジャーですが、なんと今は常備ヒーロー11人です。(笑)
スーパー戦隊の話は長くなってしまうのでお写真だけにしておきます。
こういった複数の登場人物がいて、立ち姿だけでもキャラが出ていたり、画面の全体を使って人や物が重ならずキャラクターらしさがあるのを見てると指一本にまで個性が出ていて、絵としても楽しめるんです。
そのほかにも、演出効果のなかでは一度はやってみたいよね!これってどうやっての?という効果が盛りだくさんでした。
また見たい!と思わせてくれるエンタメでした。
観劇後には、あぁ、やっぱり私舞台の演出の見せ方って好きだなぁって、思いました。
あぁ、私はなんて単純なのでしょうか。
好きなものを体や心に補充するだけで、こんなにも幸せになれます。
* * *
私は演出もしますが演技指導はできません。
内面からにじみ出る細やかな機微に関しては実は無頓着なのです。
だから半は役者の内面を引き出すとかは、ごめんなさい、できません。
ただ、こうやったらこう見えるなという演出効果が好きなんです。
どうやったら、人がイメージするものと舞台で見せたいイメージが合うか、と言うところに魅力の一つを感じます。
例えるなら、漫画だと怒りすぎてヤカンが沸騰するような湯気が出ちゃうような、、、そう言うデフォルメされたイメージ。そうして"怒ってる"を表現するようなことです。
プンスカ プンスカ
人の脳味噌の中にあるイメージに近い物を持ってきて、連想させていくような、想像力を掻き立てるような演出効果がとても面白いのです。
例えば布を、はためかせただけで、時には川の流れのように見えたり、時には白旗を振ってるように見えたり、くるくる適当に巻いてゴツゴツ感を出して岩に見せたり。
役者も照明も音響も小道具も舞台美術も、総合してどう見せるのか・・・。
そういうのを考えているとゾクゾクしてきます。(笑)
そして、その発想の着眼の終着駅は、人間を含めた「自然」から得られるインスピレーションです。
だから、演技指導ができない分、役者さんには自由に動いてほしいなぁ。
私があれこれ演技指導なんかはできないわけで、その分役者も「なんでも出していいんだ~」っていう空気の稽古場にしたいなぁ。
私はまだ自分のスタイルが確立していません。
役者としても演出としてもdbdとしてもです。
今回の観劇は自分スタイルを一つ掴めたように思います。
* * *
友人とはそのあと喋りまくり、例のごとくあっという間に時間が過ぎました。
好きなことを話せるというのは幸福ですね。
皆様も好きな何かに出会えますように。
面白いお芝居に出会えますように。
私もまた良いご縁に出会えますように。
-----20171208写真追加-----
販促の宇宙食パン(笑)。貯金箱使用できます。¥1000 お土産にどうぞ。
個人としては小道具で使われていたシャボン玉銃が欲しかったです。あったら即買いなのになぁ〜(笑)